漫画家の遊人(ゆうじん)氏が『名探偵コナン』他、ゴーストライターを使って作品を制作した業界漫画家の話をツイッターで暴露し、世間を騒がせている。
遊人氏が暴露した内容とは何か調べてみた。
遊人(漫画家)の暴露
少年漫画『ANGEL』などで知られる漫画家の遊人のとあるツイートが物議を醸している。
遊人は今月上旬頃からツイッターを通じ、自身の漫画『チャボ』の一部を無料公開していたが、その中で「高橋留美子先生は担当編集者のランク付けを作っているという」などと漫画界の裏話とも取れるようなエピソードもともに暴露。
引用:ライブドアニュース
遊人氏について私も知らなかったが、『ANGEL』『桜通信』などの代表作があり、特に前者の『ANGEL』は、性的な描写の多さに加えて、ヒットしたがゆえに有害図書としてやり玉に挙げられた過去がある。
しかし1990年代以降に風俗関係のビラや広告の多くに遊人氏の漫画風の美少女画が描かれることが多くなるほどに、その影響力は大きかったとか。
石ノ森章太郎・青山剛昌・ 浦沢直樹・あだち充・高橋留美子
そしてツイートの一部はあまりに炎上したために削除されたものもあるが、遊人氏が暴露したツイートにはこんなものがあった。
- 石ノ森章太郎先生の『HOTEL』のストーリーはゴーストが作った。石ノ森先生はそのセリフをそのまま丸写しして書いていた。
- 青山剛昌氏の『名探偵コナン』のコナンを描くゴーストライターは何人もいて、トリックも編集者が考えている。
- 浦沢直樹氏の『マスターキートン』『PLUTO』はゴーストライターの天才・長崎尚志氏がストーリーを担当し、浦沢作品のほぼすべてのタイトル・世界観・キャラ名・シナリオを考えた。本当の天才は浦沢直樹氏ではなく長崎尚志氏。
- なぜ原作長崎尚志と表示せずにファンを騙すような真似をするのか?
- あだち充・高橋留美子は自分自身で考えている。
- 小学館編集部は高橋留美子先生の原稿を紛失して大問題を起こし、編集者の一部は損害賠償が1億円以上になのでは?ということを話した。
しかしこれを読んだ一部の人は、根拠のない与太話をしている、自分の作品のために炎上商法をしている、などと批判した。たしかに、そこまで大げさに吹聴すべきと思えないものも中には混じっている。
コナンのような作品が大勢のスタッフによって作られるのは漠とした暗黙の了解になっている節があり、また浦沢直樹氏のストーリーを担当したとしている長崎尚志氏に至っては、「プロフェッショナル・仕事の流儀」にも出演したことのある人で、とても「日陰の人」のイメージのあるゴーストライターという言葉ではくくれない気がする。
さいとうたかを
さいとうたかをについてはこのように述べている。
『ゴルゴ13』のタイトル・設定は亡き小池一夫氏が考え、さいとうたかを氏が考えだしたわけではない。
また原作者が10人くらいおり、交代で納品、そして契約が特殊で、コミックスの印税10%すべてさいとうたかをのものになるが、代わりに原作料を多めに払うという契約になっているという。
『ゴルゴ13』は当初人気がなかったので小学館はコミックにしなかった。しかしさいとうたかをの実兄がリイド社から出版するとヒットしてしまった。これは小学館編集者の大きな過ちだった。
さいとうたかを氏はそのようにストーリーは原作者任せ、また絵も昔からほとんど自分では書いていない、余った時間はホステスと過ごしている、と遊人は言っている。
遊人の体験
遊人氏は遊人氏にとって嫌だったこんな体験をしたという。
漫画家・遊人の黒歴史!小学館から発売された「個人授業」というコミックス、作者・遊人としか書かれていないが実はボクはストーリーを作っていない。編集者が提供してきたゴーストライターのシナリオをもとに描いた作品です。 pic.twitter.com/oBVenxJNHg
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
1話目をヤングサンデー(今は無い雑誌)編集者と普通の打ち合わせの範囲で作った後、2話目以降しっかり作り込まれたシナリオを渡された。ボクは良くできたストーリーだったので優秀な編集者だと思っただけで使えそうなところはいただいて作った。
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
このあたりまでは仕事の範囲であってもおかしくはない、しかし。それからその編集者は打ち合わせ時こんな話しを持ちかけてきた。「個人授業がコミックスになった時このシナリオライターに印税を2%分けてもらえない?」
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
「シナリオライターって?」ボクはこんな経験は初めてだった、ストーリーは自分で作り出していたから。小学館編集者はボクに秘密に交渉してきたのだ、つまり・・・「シナリオライターの名前はコミックスに出さないが原作者と認めて印税を分けて欲しい」ということなのだ。
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
小学館にはこんな世界があったのか!?いいのかこんなことして?!その条件を受け入れたら自分も共犯者になってしまう!しかしシナリオはすでに5話まで出来ていた・・・
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
ボクは断った。もしそのまま連載を続けて嘘を隠し続けていたら凄く嫌な人生になっていただろう。これはボクが本当に経験した実話です。他の作家さんにも同じような方法で漫画家を巻き込んでいるのだろうか?もっと詳しい話しはブログで書く予定です。
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
2%の根拠とは?口止め料?口止め料を払えばずっと人気作品が続くってこと?真面目にオリジナル作品を作っていこうと思っていたのに非常に残念だ。他の作家さんはどうしているのだろう?
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
そのゴーストは担当編集者か?その話しを受け入れるとお客様を裏切り続けることになっていただろう。もしその裏契約をしていたらお金の流れはこうなる・・・編集者は副業禁止なのでバレたら首なのでいったん漫画家の口座に10%入った後、漫画家が指定された秘密口座に2%分を十金する。
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
他にこのような体験をした漫画家さんがいないことを祈りたい。
ヒットし始めてこの交渉をされたら気持ちがぐらつく事だろう。
お客様はゴースト疑惑を見極める方法は無い。コミックスの表示を信じるしかない・・・お金や名声を手に入れても自分だけは見ている。— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 19, 2019
こういう表示なのだから誰もが作・画遊人と思いますよね?実はストーリーはゴーストライターが作ったもの。このコミックスは小学館で計380000部発行されました。中身が面白かったら漫画家の手柄。
— 遊人(漫画家) (@kunimituyuji) May 20, 2019
最後に
遊人氏は少し純粋すぎるんじゃないかという気がした。
編集者もそんなに遊人氏が抵抗を示すとは思わなかったのではないか。
そんなことを言い出すなら、(あくまでも極端な話ではあるが)作品を手伝ったアシスタントの名前もすべて公開しなければならない、とかいうことにならないだろうか。
アダルチックな漫画を描いている人なので少し意外だが、むしろ純粋すぎるからアダルトに走ったのか、なんて取り留めのないことを考えてしまった。