スーザン・フォワード『毒になる親 一生苦しむ子供』

スーザン・フォワードの『毒になる親 一生苦しむ子供』は、親が子に与える心理的な悪い影響と、それに由来する問題を解決する方法について述べ、「毒親」という言葉のもとになった著作である。

スーザン・フォワード『毒になる親 一生苦しむ子供

父親と娘

ある父親は、娘にいつも酷い言葉を投げかけるのが常だった。

こうした父親については、このような説明が為されている。

このような言動は、大人の女に成熟しつつある思春期の娘に対する自分の先入観をどう処理したらよいのか分からない中年の父親によく見受けられるものである。彼らは、娘が小さい子供だった時には普通の父親でいられたのに、娘が成長して性的な魅力が増してくるとともに意識過剰になり、どうしていいか分からないために攻撃的になるのである。

随分情けない話だが、こうした父親は実際にいるのだろう。

親と子の性質の連鎖

第6章では、末尾で、親と子の性質が必ずしも連鎖的に似るわけではないことが書かれているが、これは興味深い。

これまで長いあいだ、親に暴力を振るわれて育った子供はそのほとんどが自分も子供に暴力を振るう親になると一般に信じられてきたが、近年の調査によると、多くの場合そのようなことはなく、それどころか体罰はおろか普通に叱ることもろくにできないケースすらあることが分かってきた。

「許し」の問題

おそらくアメリカがキリスト教圏であることと関係があるのだろうが、従来のセラピーでは、親との問題についても、「許し」が重視されてきた。

しかしスーザン・フォワードは、必ずしも親を許す必要はないという。

これは「許してはいけない」のではなく、「許し」は問題が解決した後に最終的に得られる可能性のあるものであって、最初から「許すことでスタートする」という態度で問題に臨むことは間違いだ、と主張しているのだ。

「許し」について研究したスーザン・フォワードは、「許し」には、「復讐をしない」ことと「罪を免除する」という二つの意味があると考える。

最終的には次のような結論に至っている。

さらに被害者の観察を続けた結果、私はそのような「罪の免除」は、「事実の否定」の一形態にすぎないと確信した。

「事実の否定」とは、当の問題行為について、「そのようなものは存在しない」という態度を取ることで、問題それ自体を認めようとしないことから、問題のある親子関係について考え、解決することの最大の障害の一つとなるものだ。

さらにスーザン・フォワードは、「許し」が結局、治療者が自分自身の怒りに気付かず、問題を直視することの妨げになってしまう、と考えている。

親との直接対決

スーザン・フォワードは、セラピーの最終的なステージとして、子供が親に、自分が傷つけられた体験について直接話す、という行為を推奨しているが、これは誰にとってもかなりハードルが高いだろう。

驚くのは、親が死んでいる場合であっても、その方法として、「親の墓の前で自分の言い分を書いた紙を読み上げる」ことでも効果があると主張されていることだ。

実際に、これで効果が挙がった例も幾つもあるという。

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