防衛大学校の任官拒否、2019年は1割の49人も?その理由とは?

3月17日に神奈川県横須賀市にある防衛大学校で卒業式が開かれた。

今年の卒業生は478人だという。

しかしその裏で、1割の49人もが任官拒否をするという異例の事態が起こった。

なぜこれほど多くの任官拒否者が出たのだろうか。

防衛大学校の任官拒否、2019年は1割の49人も

任官拒否者は卒業式に出ることは許されないことになっている。

そのために通常、毎年任官拒否者には卒業証書の授与のみで終わるが、学内でのイジメ問題が取り沙汰されている状況を考慮してか、今年は卒業式本番の17日の前日16日に卒業証書授与と簡単な式を行ったという。

そこで任官拒否の49人は16日に簡易な式に出席した。

防衛大は給与とボーナスを払って学生に学ばせるため、当然1割もの任官拒否者が出るのは痛い。防大の教授らは必死に翻意させようと説得にあたったが、決意を変えるのは難しかったようだ。

ちなみに前回大量の任官拒否者が出たのは、バブル景気と湾岸戦争を巡る自衛隊派遣議論が重なった’91年の94人だという。

49人の任官拒否の理由は?

任官拒否の理由は、「民間企業へ行きたいから」「自衛隊には向いていないと思った」など様々だった。

しかし政治アナリストの伊藤惇夫氏は、別の原因もあるという。

「安倍政権への不安があるのは間違いありません。今年の卒業生は、’15年に安倍首相が強引に安保法案を成立させた過程を見てきた世代。『当事者』として、危険地域へと派遣される可能性と直面し、熟慮の末、任官拒否という道を選んだのでしょう」

引用:Yahoo!ニュース

たしかに、多くの人が何気なく聞き流すような防衛関連のニュースでも、自衛官にとっては他人事ではない場合が多い。

世間の人が想像する以上に、幹部自衛官候補は防衛関連・安保関連のニュースに対して神経質に反応しているということかもしれない。

しかしネット上では「安倍のせいだけにするのは唐突すぎるだろう」ということでこの伊藤惇夫氏の分析にはかなり賛否が分かれていた。

任官拒否者の多さは、景気の良さなども関係があるようだ。

追記:例年の任官拒否数は?

あらためて例年の任官拒否の数と比較してみた。

2014年:卒業生?人:任官拒否15人
2015年:卒業生472人:任官拒否25人
2016年:卒業生419人:任官拒否47人
2017年:卒業生?人:任官拒否32人
2018年:卒業生494人:任官拒否38人
2019年:卒業生478人:任官拒否49人

なかなかまとまったデータがなかったが、2015年から伸び始め、それから毎年任官拒否が多いということが取沙汰されるようになったようだ。

2013年以前のデータが分からないので断定はできないが、一応任官拒否者が増えている傾向は見て取れる。

最後に

それにしても湾岸戦争の時のように特別紛争もない時期に、49人もの任官拒否者が出たということには驚いてしまう。

そもそも現代っ子の気質からいえば、軍隊それ自体の性格が向いていないともいえる。

残念なことかもしれないし、防大の教授連が慌てるのも分かるが、いざ自衛官になってから違和感を覚えて苦しむよりも、このような切りのいい綺麗なタイミングで退場することができるのは比較的望ましいことだと思う。

私も下っ端の任期制自衛官だったが2任期目の途中で陸上自衛隊をやめたので、なおさらそう思う。またあまり親しくない、顔と名前を漠然と知っている程度の同期だったが、自殺した同期もいた。

それは極端な例かもしれないが、そのような結末を迎えるよりかは、49人がいいタイミングで卒業と民間への転職を決め、またその他9割の多くの防大生が幹部自衛官候補になることができたことを素直に祝いたい。

給与全額返納?

ちなみに「任官拒否者は給与全額返納」のような言い草には反吐が出る。

防大生にも自衛官にもなったことのない者に限って、そのようなやたらと厳しい意見を吐く傾向があるように思える。

防大生に給与が出るのは、その将来への期待もあるが、それくらいしないと釣り合わないような過酷な生活を4年間送るためだ。

たとえ一時であれ志を持ち(あるいは好待遇に釣られたというのも含めて)防大に入学してくれただけでもありがたく思えと言いたい。

フォローする