佐藤浩市がビックコミック「空母いぶき」インタビュー発言で炎上

俳優の佐藤浩市が漫画雑誌「ビックコミック」誌上で、同誌で連載中で今回映画化される『空母いぶき』に関するインタビューの発言によって炎上している。

この「ビックコミック」誌上の佐藤浩市インタビュー発言に関する情報をまとめた。

「ビックコミック」とは?

ビックコミックは小学館が発行する男性向け漫画雑誌。過去には手塚治虫、石ノ森章太郎、白土三平、水木しげる、藤子不二雄ら日本漫画史のスターらも寄稿。現在でも同作『空母いぶき』他、超長期連載『ゴルゴ13』の連載誌としても知られる。マスコットマークはナマズのキャラクター。

『空母いぶき』とは?

漫画家のかわぐちかいじが「ビックコミック」誌上に2014年から連載している架空戦記漫画作品。かわぐちかいじは同作他、『沈黙の艦隊』『ジパング』といった架空戦記モノを得意としている。

漫画原作『空母いぶき』のあらすじ――20XX年、中国工作員の上陸をきっかけとして尖閣諸島が占領される。日本政府は中国に譲歩する形で事態の収拾を図るも、危機感を覚えた首相はかねてより計画された「ペガソス計画」の前倒しを行い、1年後に空母「いぶき」が完成する。そして翌20XY年に、突如中国軍が日本への侵攻を開始し……という話。

『空母いぶき』は単行本では12巻が既刊。

炎上元は産経新聞記者・阿比留瑠比のフェイスブック?

左寄りのネットメディア「リテラ」によると、炎上の切っ掛けは産経新聞の政治部編集委員・阿比留瑠比が5月10日夜にしたフェイスブックでのこのような書き込みだという。

観に行こうかと考えていた映画『空母いぶき』に関心を失った件について。

『ビッグコミック』誌のインタビューに、首相役の俳優、佐藤浩市氏がこう述べているのが掲載されていたのを読んでしらけたからです。

「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」

「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます」

……はあ。あえてアレコレ言う気もおきません。次は三田村某さんに続いて菅直人元首相の役でもやるといいですね。どうでもいいや。

引用:リテラ記事

佐藤浩市のインタビュー発言 内容は?

問題とされた佐藤浩市のインタビュー発言とその前後はこういったものである。

インタビュアーの発言「総理大臣役は初めてですね」に対し、

最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。

いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね

でも監督やプロデューサーと「僕がやるんだったらこの垂水総理大臣をどういうふうにアレンジできるか」という話し合いをしながら引き受けました。

そしてこの映画での少し優柔不断な、どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、自分にとっても国にとっても民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたいと思ったんです。

インタビュアーの発言「総理は漢方ドリンクの入った水筒を持ち歩いていますね」に対し、

彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです

だからトイレのシーンでは個室から出てきます。

インタビュー発言の全体を知りたい方はこちらのページが詳しい。

映画「空母いぶき」が2019年5月24日に公開されます。 映画で内閣総理大臣を演じるのは佐藤浩市さんです。 2019年5月10日号の雑誌「ビッグコミック」の映画公開直前インタビューが痛烈批判を浴びておりネット上では炎上しています。 今回は、炎上のきっかけとなった雑誌「ビッグコミック」のインタビュー全文をご紹介するととも...

炎上した理由

炎上した該当発言は、特に太字で示した「いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」「彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです」という部分である。

前者の「体制側の立場を演じることに対する抵抗感」云々という発言から、佐藤浩市が思想的に左寄り・リベラル寄りの人物だということが分かる(しかしゴリゴリのリベラルかというと、そこまでではないのではと思う)。

例えば佐藤は3年ほど前に朝日新聞の紙上インタビューでは「このままではナショナリズムに訴えるドラマしか残らないかもしれない」という憂慮を表明したという。

 昨日の放送をもって、『報道ステーション』(テレビ朝日)のキャスター・古舘伊知郎氏が番組を降板した。これは本サイトで繰り返し報じているように安倍政権による報…

実際の原作では、佐藤浩市が演じた垂水慶一郎首相は意志的な人物であり、頼りないキャラクターではないらしい。

しかし前者の「体制側」発言、後者の「お腹を下す設定に変えてもらった」と二つの発言がつなぎ合わされて解釈された結果、佐藤浩市個人の思想的な理由から、首相のキャラクター設定を変えたのではないかと解釈されたようだ。

加えて現首相の安倍晋三に腹部の持病である「潰瘍性大腸炎」があることから「首相を揶揄(やゆ)している」と受け取られた(しかしこれの根拠は怪しいかもしれない)。

さらにこの解釈が推進された結果、「病気の人に対して思いやりがない」という批判まで招いてしまったようだ。

最後に

今作の映画『空母いぶき』に関しては、佐藤浩市だけの問題でなく、原作の「中国」を「東亜連邦」という架空国家にしているなど、映画全体が中国に配慮しすぎて気の抜けたものになってしまっている可能性もある。

それはさておき、今回の炎上に関して、佐藤浩市が安倍首相の病気を揶揄したとする根拠は薄いのではないかと思う。

佐藤浩市の思想上、安倍総理への無意識的な連想でそのような役作りに走った可能性はあるが、そうだとしても、意図的な揶揄ではないことになる。

たぶん右派の人は、佐藤浩市は左寄り・リベラル → お腹が弱い設定への変更の申し出 → 安倍首相を揶揄 という風に連想したのだろうが、単なる邪推で客観的な根拠はない。

唯一今回の佐藤浩市への批判で十分な道理があると思える部分は、『空母いぶき』の垂水慶一郎首相と佐藤浩市の演じた役はキャラクターが180度違うのではないかというものだ。

それについては単純に原作の設定を大幅に曲げているのだから、原作ファンから批判が起こるのは理解できるし、致し方ないと思う。

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