「ビックコミック」誌上で、佐藤浩市が総理役を演じた映画『空母いぶき』に関するインタビューが掲載され、その内容が炎上した。
佐藤浩市が演じた総理大臣の役を、思想上の理由から原作と異なる人物像へと変えたと受け止められたためである。
それに対し多くの著名人が賛否両論の立場から参加し、意見を戦わせているが、この記事ではホリエモンこと堀江貴文、タレント・黒沢年雄の2人の反応を取り上げている。



佐藤浩市の問題となった発言
問題とされた佐藤の発言は主に二つある。
「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」
「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます」
この2つの発言は発信源となった産経新聞記者・阿比留瑠比が並列的に並べてフェイスブックに書き込んだために因果関係があるような解釈をされてしまった。
つまり「体制側の立場を演じることに対する抵抗がある」→「安倍を揶揄したお腹の弱い人物という設定を加えてもらうことで演じることができた」、という風に主に右派界隈から解釈されることになった。
ホリエモンこと堀江貴文の反応「これはひどいな」
これはひどいな https://t.co/XynUnJ8HDx
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) May 13, 2019
ほんと多くの人は文脈読めないんだよなー。佐藤浩市がひどいに決まってんだろ。。 https://t.co/iC510e7k8p
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) May 13, 2019
しかしなぜ「決まっている」のか。
少なくとも私には分からなかった。堀江が右派なら反佐藤で「決まっている」だろうが、堀江には思想的な偏りはない(他の部分での偏りはあっても)。
それはともかく、具体的にどの部分をとらえてかは分からない(役柄を勝手に変えたことなのか、安倍首相を揶揄したと解せることなのか)が、ホリエモンも佐藤浩市に批判的な感想を持ったらしい。
タレント・黒沢年雄はブログで佐藤浩市を擁護
一方でタレント・黒沢年雄は自分のオフィシャルブログで、「話題の佐藤浩市」というタイトルで、このように佐藤浩市を擁護している。
世の中いろんな人がいるからこそ、面白いし、楽しい。
思想もそう…。
時代に産まれ育った人間で変わってくる人もいる…だから今回の佐藤君の安倍総理に対すると思われる揶揄とも取られる発言は、まだ彼が若い部分があるという事で許してやって下さい。
僕の生きて来た人生は、戦後から波乱万丈で無茶苦茶な生き方をして来た自分からみて、今の体制側は良く日本を支えて来たと思います。
言論も色々あっていいじゃないですか。
まあ隣の国だったら、刑務所か、死刑になる可能性がありますが、それに比べて日本は自由です。
作家の百田尚樹さん、僕は貴方の本のフアンです。
佐藤君を大目に見てやって下さい…。
それに歴代の総理から見て、自分から世界に飛び出し、各国のトップと、自ら話し合う総理は今までにいません。
各国から安倍総理は信頼されていると思います。
そんな安倍総理は、佐藤君の、小馬鹿にしたと、取られ易い言葉等何とも思っていないと思います。
それにしても、世界各国を見て来た僕から見て、日本は最高の国です。
安倍総理・日本の為、国民の為に頑張って頂きありがとうございまーす。
引用:話題の佐藤浩市
しかし、もしかしたらこのような擁護の仕方は佐藤としても不本意で迷惑に感じるのかもしれない。
佐藤の『空母いぶき』総理大臣像の変更に賛同はしないが、佐藤浩市は自分の役者としての信念や経験則からこのような変更に及んだのだろう。
今はじっとして嵐が収まるのを待っているように見える佐藤浩市だが、自分の信念に発した役作りや発言を、「若いから」とか「大目に見て」などというのは、かえってバカにしており、迷惑なのではないか。
それとも、黒沢はそれほど安倍や政権権力を恐れ、憚っているのだろうか。
いずれにしろ、黒沢の言葉は後輩・佐藤浩市への老婆心に発したもので、悪気はないのだろうが。