トランプを不快にしたマティス辞表書簡の全文と該当箇所とは?

驚くようなニュースが入った。来年二月末に退任を決めていたマティス米国防長官が前倒しして、1月1日に辞任するということだ。

前倒しの理由は、マティスが辞表の中で暗にトランプの外交政策を批判したことに不快感を覚えたからだという。

トランプ大統領はマティス長官の退任を発表した20日のツイッター投稿では同氏の功績をたたえていたが、22日には、オバマ前大統領に中央軍司令官の職を「不名誉に解任された」マティスに、自分が2度目のチャンスを与えたのだと投稿し、不快感をあらわにした。

いったいトランプはマティス書簡のどの部分が気に食わなかったのか。

日本経済新聞による日本語訳から該当箇所を探してみた。たぶんこのあたりが特にそうなのだろう。

「あなたと同じように私も米軍は世界の警察ではないと言ってきました。その代わりに、同盟国に効果的な指導力を示すことを含めて(同盟国の)共同防衛に向けて、米国が持つ全ての手段を提供する必要があります」

それにしてもマティスはずいぶん言葉を慎重に選んでいるのに、トランプはこれが不快になって我慢できなくなってしまうということに驚いた。

マティス書簡全文

下はマティスが辞表として出した書簡の全文。

親愛なる大統領閣下

私は第26代の国防長官として国防総省の職員らとともに米国の国民や理念を守る職務を担当してきました。

2年間で国家防衛戦略に盛り込んだいくつかの重要な目標に向けた進展があったことを誇りに思います。たとえば、国防総省の財政基盤を整えたり、軍の機動力や攻撃力を高めたり、高いパフォーマンスを実現するために省の働き方を変えたりしたことがあります。米軍は紛争で勝利し、世界での強い影響力を維持する能力を提供しています。

国家としての強みは同盟やパートナーシップという唯一無二で包括的な概念と緊密に結びついていると私は固く信じています。米国は自由な世界において不可欠な国でありますが、同盟国との強い同盟を維持し敬意を示さなければ、国益を守ったり、国益を追求したりすることはできません。あなたと同じように私も米軍は世界の警察ではないと言ってきました。その代わりに、同盟国に効果的な指導力を示すことを含めて(同盟国の)共同防衛に向けて、米国が持つ全ての手段を提供する必要があります。民主主義を重視する北大西洋条約機構(NATO)29カ国は2001年9月の米同時多発テロ後に我々に寄りそって戦うと約束してくれて(同盟の)強みを証明しました。(過激派組織の)イスラム国の壊滅に向けた連合軍ももう一つの同盟の証しです。

同様に戦略的利益が我々の利益と衝突することが増えた国に対しては、我々のアプローチを断固かつ明確なものとしておく必要があります。中国やロシアが自国の利益を追求するために経済・外交・安全保障に関する他国の決断を否定し、権威主義的な政治モデルと整合的な世界をつくりだしたいと望んでいるのは明らかです。だからこそ、我々は共同防衛に向けて、あらゆる手段を尽くさなければならないのです。

同盟国に敬意を払い、悪意に満ちた者や戦略的な競争相手に注意を払うべきだという私の考えは、こうした問題に取り組んだ私の40年以上(の経験)に基づき、培われたものです。我々の安全保障や繁栄、価値観に最も資する国際秩序を推進するためにできることは全てやるべきです。我々は同盟という結束によって強くなるのです。

あなたは、これらの点について、あなたの考えにより近い人物を国防長官に据える権利があります。だから私は身を引く時だと考えています。私の任期の最終日は2019年2月28日とします。この日付にしたのは、次期議会の公聴会や2月のNATO国防相会合で、国防総省の利益を適切に説明し守っていくだけでなく、後任が指名され承認されるために十分な時間を確保するためです。さらに来年9月の米統合参謀本部議長の交代に先立って新しい国防長官に移行し、省内の安定を確かなものにするためでもあります。

私は215万人の軍人や73万2079人の国防総省の文民が職務に集中し、米国民を守るための不眠不休のミッションを遂行できるよう円滑な移行に最善をつくすことを誓います。

この国や軍人たちに仕えることができて大変感謝しています。

引用:日本経済新聞

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