歌舞伎町五人衆メンバーの名前は?その実態は歌舞伎町で派手に遊んでいた者たち?

ネット上で一時期まことしやかに語られた噂に、「歌舞伎町五人衆」というものがあります。

このネット上の噂によると、「歌舞伎町五人衆」は統制の取れた組織・ネットワークであり、「総勢5000名の巨大組織」「関東連合の黒幕」、さらには「裏社会から政界まで牛耳るフィクサー」とすら言われることがありました。

しかし、この統制の取れた組織・ネットワークとしての「歌舞伎町五人衆」は、その噂の中で名前が出てくる「歌舞伎町阿弥陀如来・藤井学」によると、「そんなものは存在しない」といいます。

藤井は他に「歌舞伎町五人衆」の一人とされている人物と友人であり、その友人にも確認したところ、「五人衆? 何それ?」という反応だったといいます。

ただそこで「歌舞伎町五人衆」として大きな財力や権力を持っていると噂されるメンバーの名前は、やはり興味深いものがあります。

ここではその「歌舞伎町五人衆」として名前が出てくるメンバーと、「歌舞伎町五人衆」の実態について調べてまとめました。

歌舞伎町五人衆メンバーの名前は?

「歌舞伎町五人衆」のバリエーションは幾つかあるものの、基本として最初に並ぶ五人の名前・序列は変わりません。

  1. 歌舞伎町五人衆のトップとされる「矢野高宏
  2. 五人衆の最大派閥とされる「工藤明生
  3. 蛇頭とされる「張貴也
  4. 関東連合とされる「前原完治
  5. 元カジックとされる「笠井祐介

基本的に歌舞伎町五人衆とはこの五人とされています。

たぶん、この全員を知っているという人はかなり稀なのではないでしょうか。

2番目に闇金とオレオレ詐欺で巨万の富を築いたとされる工藤明生がいます。

工藤明生は一時期「実在しない」ともされ、関東連合の柴田大輔の筆名「工藤明男」は、このネット上で尾ひれがついた虚像としての「工藤明生」のパロディであることでも有名です。

しかし現在は、あの溝口敦が『詐欺の帝王』で取り上げたことで、(噂と実像の異なる部分はあったものの)本当に実在していたということが明らかになっています。

他の者も全員が実在する人物なのかは不明ですが、一時は実在しないとされた工藤明生が実在したくらいなのですから、少なくともモデルになった人物くらいはいたであろうと推測できます。

工藤以外の者は誰も広く知られている者がいませんが、特に謎なのは四番目の「前原完治」で、かなりマニアックな関東連合関係者の名前が挙がる場面でも名前が見えないにも関わらず「関東連合」とされています。

また五番目で出てくる「カジック」とは、山口組系「五菱会」(ごりょうかい)系闇金業者を統括してた会社名です。

五菱会は山口組の二次団体で、傘下の闇金会社が多重債務者にダイレクトメールなどを送り、複数の店舗で顧客情報を共有・管理するなどの手口で荒稼ぎしました。

その組織名は山口組五代目組長の渡辺芳則(わたなべ よしのり)が命名したとされています(五菱会は2003年11月に「美尾組」、さらに2007年2月には「六代目清水一家」に改称しています)。

「歌舞伎町五人衆」の幾つかのバリエーション

ここからはネット上で噂された「歌舞伎町五人衆」の幾つかのバリエーションを紹介します。

「歌舞伎町五人衆」の噂は、「五人」と言いつつ、それに加えて五人の名前が出て合計で十人の名前が並ぶというのも特徴で、出てくる名前にも幾つかのバリエーションがあるようです。

バージョン①

「歌舞伎町五人衆」伝説は、一時はネット上でかなりポピュラーなものだったようですが、現在ではその噂はネット上でも見つけにくいものになっています。

見つけることのできたものに、例えばこのようなものがありました(2010年11月18日の匿名掲示板の書き込みの転載の転載です)。

五人衆グループ最高幹部を列挙
<歌舞伎町五人衆>
①最高総帥 矢野高宏様
②五人衆最大領袖 工藤明生様
③蛇頭No.3 張貴也様
④関東連 かんじ様
⑤元カジック 笠井祐介様
<五人衆補佐三人組>
⑥グループ筆頭 萩様
⑦重役 哲様
※⑧(逮捕)佐藤嘉和様
⑨上席役員 長栄様
<執行幹部相談役>
⑩小笠原晃様

引用:https://suttonde.exblog.jp/16566235/

4番目の「関東連 かんじ様」というのは「前原完治」のことです。

バージョン②前原完治がフルネーム

五人の名前は変わっていませんが、「関東連 かんじ様」の「かんじ」の名前がはっきり書かれているバージョンもあります。(2010年12月29日の書き込み)

■工藤明生:歌舞伎町五人衆最大領袖、イベント仕切と金融の帝王 青山パークタワー①
■矢野高宏:歌舞伎町五人衆トップ、華僑、腹心:藤本勝也(弁護士・怒羅権?)
■張  貴也:歌舞伎町五人衆№3 蛇頭 在京幹部No.3
■笠井祐介:歌舞伎町五人衆№5 元五菱会闇金グループ、カジック・YM所属 六本木ヒルズ①
■前原完治:歌舞伎町五人衆№4、関東連合S50 tenderloin 藤井フミヤのセキュリティとして有名

引用:https://yuzuru.5ch.net/test/read.cgi/4649/1293570125/45

バージョン③「阿弥陀如来」入り

また闇金グループのトップで覚醒剤で逮捕された藤井学が『歌舞伎町阿弥陀如来』でネットからそのままコピペしたものは、次のようになっています。

原文では名前がイニシャルにされていますが、他の「歌舞伎町五人衆」バージョンと照合して該当者を()内に記入しておきます。

「五人衆は華僑、関東連合、蛇頭、五菱会系闇金幹部と猛者揃い。T(立花胡桃)を女帝にした莫大な資金力の軍団。

関東連合、怒羅権が支配するイベサー等、全国47都道府県を網羅した巨大イベントの創設者が黒幕のK(工藤明生)」

「歌舞伎町五人衆グループの大幹部列挙(総勢500名)
①総帥 Y(矢野高宏)様 総資産300億以上
②五人衆最大派閥 K(工藤明生)様 最大量袖総資産200億以上 イベント仕切と金融詐欺?の帝王
③T(張貴也)様 蛇頭 総資産100億以上
④関東連 K(かんじ=前原完治)様
⑤元カジック K(笠井祐介)様〈補佐3人組〉
⑥グループ筆頭 O(萩)様
⑦ワンクリック王 T(哲)様
⑧(逮捕) S(佐藤嘉和)様〈補佐3人組相談役〉
⑨(逮捕) O(該当者不明:小笠原晃か)様〈五人衆グループ顧問〉
⑩歌舞伎町阿弥陀如来

引用:藤井学『歌舞伎町阿弥陀如来』

これは最後のメンバーの名前が「歌舞伎町阿弥陀如来」になっているのが特徴です。

この「歌舞伎町阿弥陀如来」は、闇金グループの長であった藤井学の自称です。

歌舞伎町五人衆の実態は?

藤井学は著書の『歌舞伎町阿弥陀如来』で、ネット民が噂する統制の取れたネットワークとしての「歌舞伎町五人衆」などというものは存在しないと明言しています。

その五人衆の一人でもあるY(注:矢野高宏)君は、俺の友人だが、彼に尋ねてみても「五人衆? 何それ」とキョトンとした反応しか返ってこない。

のっけから、ネット上で膨らんでしまった幻想を壊してしまうようで悪いが、実際は、歌舞伎町五人衆なんていうネットワークなど存在していない。

(中略)

ここで名前が出てくる者たちは、そんな「闇の権力者」的なものでも何でもなくて、単に「歌舞伎町で派手に遊んでいた奴ら」というぐらいでしかない。

引用:藤井学『歌舞伎町阿弥陀如来』

おそらく当初「歌舞伎町五人衆」の話は、そのネーミングからも分かるように、互いに同じ組織の人間として活動しているネットワークを意味するのでなく、単純に羨望や畏怖の念をこめて、歌舞伎町で派手に飲み歩いている五人の名前を並べただけだったのではないかとも思えます。

そこから徐々に、ネット民の妄想によって、彼らが組織内での序列や統制されたネットワークを持っているかのように話が膨らんでいったということなのでしょう。

ただしそこで名前が挙がる人物は、その肩書に誇張はあるかもしれないものの、工藤明生が実在した以上、他の人物も実際に実在すると見るのが妥当と思われます。

さらに、そこで名前が挙がる人間は、当時全盛期だった闇金で巨万の富を築いた人物が中心であるようです。『実話ナックルズ』2019年2月号の藤井学・工藤明生の対談では、工藤明生は次のように話しています。

だから歌舞伎町五人衆ってのはヤクザでも武闘派でもなくて、闇金バブルを作り出したメンバーで、基本的にはずっと派手に遊べる財力をキープできた人間でしょう。

またそこでは、自分が贔屓するキャバ嬢を一番にするという競争心も働いていたようです。

溝口敦の著書『詐欺の帝王』では、工藤(文中では本藤彰)は次のように言っています。

「歌舞伎町五人衆といったって、そういう集まりがあったわけじゃない。誰が一番カネを使って、歌舞伎町にいる自分の彼女を頂点に持って行けるかっていう遊びです」(本藤)

歌舞伎町での目立ち方

ということで、「歌舞伎町五人衆」は歌舞伎町で派手に飲み歩いて目立っていた人物の名前が羅列されたものが、ネット上で強引に関連づけられたものといえると思います。

基本的に歌舞伎町での目立ち方は、多くの金を使うことで目立つというのが一般的だと思えますが、そうでない場合もあったようです。

例えば工藤明生は、ナンバー1キャバ嬢だった一条葵と付き合っていたという話から分かるように、金離れの良さが際立っており、比較的「綺麗な飲み方」をしていたようですが、「歌舞伎町五人衆」の末端に名前が挙がる「歌舞伎町阿弥陀如来」藤井学はそうではないようです。

「歌舞伎町阿弥陀如来」藤井学は、『実話ナックルズ』2019年2月号の工藤明生との対談の中で、こんな話をしています。

俺はカネ払わなかったっすから、ほとんど。伝票持ってきた時点で「お前なめてんのかこの野郎」ってなるんで。今もそうっすけど。

また著書の『歌舞伎町阿弥陀如来』の中でも、ぼったくりのバーに入ってしまい、テーブルをひっくり返して「おまえ、殺すぞ、この野郎!」「何だよ、この伝票は」と言って最後はケツ持ちのヤクザと話したことなどを書いています。

さらに「ホスラブ」という夜の仕事専門のネット掲示板では、当時、藤井らのことを「タチワル」「どうしようもない奴ら」「ならず者」などと散々書かれていたといいます。

それでなおさら藤井らは、店で嫌われている雰囲気を察して攻撃的な態度をとったようです。

頭に来てグラスを割り、チェックした伝票を見ては、
「高ぇよ、やり直してこいよ!」
そう怒鳴り散らすなんてことも、しばしばあった。どこの店でも俺たちはやりたい放題で、店に話を付けて、裏口で葉っぱを吸うこともあった。

引用:藤井学『歌舞伎町阿弥陀如来』

いずれにしろ、こうして良くも悪くも目立っていたメンバーが「歌舞伎町五人衆」の噂で名前を挙げられて、そこに尾ひれがついて「歌舞伎町五人衆」伝説が完成されたと見て間違いないようです。

以上になります。