今回は「陰謀論の階梯(かいてい)を昇る」と題して、陰謀論(陰謀説・陰謀理論)を4つの段階に分けた上で、それらの特徴・頻出用語・代表される論者・書籍などの紹介と解説をしたいと思います。(階梯=階段とほぼ同義)
陰謀説・陰謀理論を信じていない人からは一口に「陰謀論」として片づけられますが、実際にはその内容はかなり幅広いものです。
陰謀論に初めてふれた人は、当初は「なるほど、ここまでは本当かもしれない」と納得することがあっても、この陰謀論・陰謀説の世界は奥に行けば行くほど常識と乖離しており、受け入れがたい現象や説明に遭遇して戸惑うことが多くなります。
しかし言い換えれば、陰謀が真実だという立場に立った場合には、このような「受け入れがたい諸事実」を前提に組み立てられている陰謀説・陰謀理論の方が、より一層高度に世界の実相を反映しており、したがってより優れているということもできます。
それでは陰謀論・陰謀説の4つの段階とはどのようなものなのでしょうか。
ここではそれを説き起こしていきたいと思います。
陰謀論・陰謀説の4つの段階|秘密結社・宇宙人からスピリチュアルまで
陰謀論・陰謀説・陰謀理論の4つの段階
この陰謀論・陰謀説・陰謀理論のそれぞれの特色・内容に由来する「常識からの乖離度」「受け入れがたさ」を基準に段階的に分けた場合、大まかに4つほどに分類することができます。
これはそれぞれ(常に確実にそうだというわけではありませんが)、相互に排斥し合う陰謀説ではなく「段階」であるため、それぞれはその下にあるすべての段階の要素を含んでいたり、それを前提にしていることが多くなっています。
つまり、4の陰謀説は3・2・1の陰謀説を、3の陰謀説は2・1の陰謀説を、2の陰謀説は1のの陰謀説の要素も同時に含んでいます。
また先の段階に昇るほど世界観が明るくなり、それに比例して希望の持てる情報が多くなるというのも特徴といえます。
ここから本記事はこの陰謀論・陰謀説・陰謀理論の4つの段階を、それぞれ、
- その内容・特色
- そこで頻出する概念・言葉(用語)
- それを唱える代表者・著名人(主唱者)
- それについて知る(学ぶ)ための関連書籍
に分けて順番に解説していきます。
1:悪の黒幕陰謀論・陰謀説
陰謀論・陰謀説の4段階のまず1つ目は「悪の黒幕陰謀論」です。
これはもっとも原始的な形態の陰謀論である一方、すべての陰謀論はこの要素を含まなければ「陰謀論」として成立しないため、陰謀論一般が必ず踏む段階といえます。
内容・特色:悪の秘密結社に代表される悪の黒幕が世界を牛耳っている
その内容は分かりやすくいえば「この世界の諸々のネガティブな現象の裏側には、悪の秘密結社を始めとする悪しき人間集団が『悪の黒幕』として潜んでおり、彼らが世界を牛耳っている」と考えるものです。
戦争、金融危機などの背後には、この悪の秘密結社がおり、そこに巣くう一部の人間たちが、自分たちの利益・思想の実現のために人為的にこれらの現象を引き起こしている、と主張します。
これはもっとも有名で古くからある陰謀論といっても良く、陰謀論・陰謀説について詳しくない人が「陰謀論」といって真っ先に思い浮かべるのがこれでしょう。
また「悪の黒幕」として挙げられるのが「悪の秘密結社」であることが多いため、これは高度な陰謀論と区分する意味で、「悪の秘密結社陰謀論」と呼んでも差し支えないものといえます。
概念・言葉:フリーメイソン、ユダヤ人等
この「悪の黒幕陰謀論」で頻出する(頻繁に登場する)概念には、フリーメイソン、イルミナティ、ユダヤ人、また「一つ目のピラミッド」などの秘密結社のシンボルがあります。
その原因としては、当然ですが「悪の黒幕である秘密結社が世界を牛耳っている」と考える以上、その世界を牛耳る秘密結社や闇の存在がなければ辻褄が合わなくなり、この「悪の黒幕(悪の秘密結社)」として登場するもっとも代表的なものが「フリーメイソン」や「イルミナティ」といったものだからです。
またそのフリーメイソンやイルミナティといった悪の秘密結社の構成員の重要人物がユダヤ人とされることも多いため、ユダヤ人という言葉も登場しやすいです。
代表者:副島隆彦、ベンジャミン・フルフォード
この「秘密結社陰謀論(従来的陰謀論)」は歴史が古く、逆にいえば最近の著名な陰謀論者は先の段階にいることが多いため、(特に筆者のように最近になって陰謀論・陰謀説に興味を持った人間にとっては)まったく純然たる「秘密結社陰謀論者」を例を出しにくいのも特徴です。
強いて最近の著名人を無理やり当てはめて挙げるなら、この陰謀説の代表者には、政治評論家の副島隆彦、ベンジャミン・フルフォード、オランダ人の元エリート銀行家でイルミナティを脱退後にその内実を暴露したロナルド・ベルナルドなどがいます。
副島隆彦は「フリーメイソン(=秘密結社)」という言葉・概念はあまり用いませんが、その代わりに世界の裏側で権力を握っている少数者としてユダヤ人の血族である「ロックフェラー(家)」や「ロスチャイルド(家)」といった言葉をよく使用します。
書籍:『シオン賢者の議定書』、ベンジャミン・フルフォードの著作など
この「悪の黒幕陰謀論」の著作としては、一般的に反ユダヤ主義者の聖典ともされる有名な『シオン賢者の議定書』などもこの系譜に連なるものです。
またベンジャミン・フルフォードの諸著作もここに挙げていいかもしれません。
2:テクノロジー陰謀論・陰謀説
2つ目は「テクノロジー陰謀論・陰謀説」(テクノロジー重視型の陰謀論・陰謀説)です。
特色・内容:先進的な技術が既に開発されており、秘匿されて独占的に使用・悪用されている
これはクローン技術、タイムトラベル、フリーエナジーといった先進的な科学技術が既に開発されており、それが「悪の秘密結社」によって悪い目的で使用されている、と主張するのが特徴です。
またこの段階・この要素の強い陰謀説は、先進的な技術を宇宙人によって授けられたと考えることも多いため、3の「宇宙的陰謀説」と結びつきやすく、相互にその要素が浸透し合っていることが多いことも特色です。
陰謀論・陰謀説を4つではなく3つの段階に分けるとすれば、この2と3を合体させるのが一番適切であるかもしれません。
概念・言葉:クローン、タイムトラベル、HAARP(ハープ)、フリーエネルギー
先述したように、これは先進的な技術が既に開発されていると考えるため、その先進的技術にまつわる用語が多く出てきます。
たとえば、クローン、タイムトラベル、ニコラ・テスラ、HAARP(ハープ)、人工地震、フリーエネルギーなどです。
既に開発されている技術として人間を培養することのできるクローン技術、時間を行き来できるタイムトラベル、既に石油・天然ガスなどの資源を必要としないフリーエネルギーといった概念・言葉が出てきます。
またそれらの先進的科学技術を開発したと思しき人間として、発明王・エジソンのライバルだった「ニコラ・テスラ」の名前が出てくることが多いようです。
さらに技術的に大規模な人工地震を起こすテクノロジーを人類は既に持っていると考えるため、そのための気象操作兵器であるHAARP(ハープ)、それが悪用されてしまった例として「311」が挙げられることもあります。
代表者:Qアノン
テクノロジー陰謀論・陰謀説の代表者に、トランプ支持者の陰謀論集団として有名な「Qアノン」の人々がいます。
Qアノンはクローン技術によって本人の替え玉が作られている、既にタイムトラベルの技術が開発されいる、未来を見通すことのできる「ルッキンググラス」という道具が存在する主張することがあります。
さらにQアノンでは、1の「秘密結社陰謀論」ではフリーメイソンやイルミナティとされていたものが、ヘブライ語の「カバラ」を語源に持つ「陰謀団」という意味の「カバール」や影の政府という意味の「ディープステート(略称:DS)」という言葉に置き換わることが多いのも特徴です。
またQアノンはアメリカ発の運動であり、アメリカは多様な思想信条に基づく多民族国家としての外観とは裏腹に、大統領が就任時に聖書に手を置いて宣誓することでも分かるようにキリスト教国家であるため、敵であり悪の勢力であるカバール=DSの「悪魔崇拝主義(サタニズム)」の要素が強調・重視(敵視)されます。
書籍:なし(関係ブログ推奨)
テクノロジー重視型陰謀論の関係書籍はもちろん存在するのでしょうが、筆者自身が内容を聞いたり読んだりしたことがないため、挙げることができません。
またこのテクノロジー重視型陰謀論の代表者として挙げたQアノンですが、Qアノンについて真面目に、つまりその内容を体系的にまとめた著作は現在のところ存在しないようです。
批判的な視点から書かれた書籍は存在するようですが、内容を体系的に知りたい場合にはこれらの著作はあまり有益ではないだろうと思います。
もっとも有益なのが日本のQアノン組織「QArmy Japan Flynn」の2Hey(にへー)氏のブログで、こちらが初心者学習のためには最適です。
Qマップの日本語訳リンクもあり、その見方・メニュー操作まで説明してくれているので、かなり勉強になるかと思われます。
他には一応日本のQアノン公式サイトもあることはあるのですが、「既にQアノンになっている」人に向けられたページで、体系的に情報がまとまっているわけではないので初心者にはあまり有益ではありません。
上が日本のQアノン公式ホームページで、下がトップページに「初心者の為のQ情報!」というリンクが貼ってある個人ブログ『目覚めの扉 〜Great Awakening〜』になります。
3:宇宙的陰謀論・陰謀説
3つ目は「宇宙的陰謀論・陰謀説」です。
内容・特色:悪い宇宙人や良い宇宙人が地球人に悪い目的で干渉したり操作している
「宇宙的陰謀論・陰謀説」の内容・特色としては、悪い宇宙人や良い宇宙人が地球人に悪い目的で干渉したり操作している、良い宇宙人からの情報・知識などの協力をもとに、悪い宇宙人とは対決しなければならないと主張します。
この陰謀説では、1の「悪の黒幕陰謀論」では人類における最大の悪と考えらることの多いイルミナティのような「悪の秘密結社」も、根本的には単に悪しき宇宙人の利益のために利用されているに過ぎないと考えられています。
またこのような内容のために当然、「宇宙人に由来する先進的技術」に言及されることが多く、前出の「テクノロジー陰謀論」と親和性が高くなります。
概念・言葉:グレイ、レプティリアン(爬虫類型宇宙人)、歴史的な人類への遺伝子操作
この陰謀説では悪い宇宙人として名前が上がることの多いのがグレイ、それ以上にレプティリアン(爬虫類型宇宙人)であり、特に近年では後者の名前が頻出することが多くなっています。
またレプティリアンの特殊能力として人間の姿に変身できる「シェイプシフト」という言葉が出ることがあります。(本ブログでも関連記事あり)

悪しき宇宙人の行った最大の悪事として「人類への歴史的な遺伝子操作」が挙げられます。
宇宙的陰謀論者の主張では、悪しき宇宙人は地球人を自分たちの奴隷となるように作った、また支配のために都合の良いように改造した、とされます。
また宇宙的陰謀論者は、地球人より進んだテクノロジーを持つ宇宙人は既にタイムトラベルの技術を保有しているため、グレイは1900年代に初めて地球に来ているにも関わらず昔にさかのぼって人類の歴史に干渉したのだ、と主張することもあります(アレックス・コリアーによる主張)。
一方で「良い宇宙人」として名前が上がることがもっとも多いのは、プレアデス人であり、次いでシリウス人、アンドロメダ人といった名前が上がります。
ただしグレイや「レプティリアン(爬虫類型宇宙人)」にも良い宇宙人もいるとされることもあり、「特定の宇宙人種族の全体=悪もしくは善」ではないということは一応注意が必要です。
さらに月や火星の基地、エリア51をはじめとする宇宙人との関係施設の名前が出てくることも多いです。
代表者:アレックス・コリアー、デーヴィッド・アイク、ウィリアム・ブラムリー
この「宇宙人陰謀論・陰謀説」の代表者として、アンドロメダ人と接触してその知識・経験を地球人に伝えているアレックス・コリアー、またレプティリアン(爬虫類型宇宙人)に関する多くの証言・情報・解釈を集めて出版したデーヴィッド・アイクなどがいます。
またアレックス・コリアーはYouTubeでも関連動画が複数上がっており、当ブログでもそれをもとに関連記事を書いています。
https://sai001.com/alex-collier/
書籍:デーヴィッド・アイク『マトリックスの子供たち』など
デーヴィッド・アイクは先のレプティリアンに関する当ブログ記事の元となった書籍『マトリックスの子供たち』(旧版タイトル:竜であり蛇であるわれらが神々)を書いた人物で、欧米では特にかなり有名な宇宙的陰謀論者です。
さらに比較的早い時期に「宇宙人の地球人への歴史的干渉」を自身の推理にもとづいて執筆、書籍にまとめて出版したウィリアム・ブラムリーなどもここに区分することができます。
彼の著書『エデンの神々』は、アンドロメダ人との接触者であるアレックス・コリアーによって「キリストのこと以外はほぼすべて正しい」(著書全体の情報の80%は正しい)として推奨されています。(ただし紙の本は高く、内容も筆者自身が読んでみたところ、最近ではもっといい本があるのではないかと思えました。『エデンの神々』を読むならデーヴィッド・アイクの著作を読んだ方がいいような気がします)
4:スピリチュアル陰謀論・陰謀説
そして陰謀論・陰謀説の最終的な階梯・段階は「スピリチュアル陰謀論・陰謀説」とでも呼ぶことのできるものです。
内容・特色:スピリチュアルな知識・行動が地球の解放に繋がる
この「スピリチュアル陰謀論・陰謀説」では、通常の陰謀論・従来の陰謀論ではむしろ無関係、もしくは排斥し合うと思われているスピリチュアリズムの要素が色濃く出てきます。
というよりも時に1・2・3の陰謀論・陰謀説の知識はこのスピリチュアリズムの要素に包含され、最終的な目的であるスピリチュアルな価値会得のための単なる前提条件とされます。
その特色は、神・霊性・スピリット(霊魂)などの霊的知識は虚構ではなく、良い宇宙人の助けを借りて悪しき秘密結社や悪しき宇宙人などの悪の勢力を打倒しなければならないのはもちろんだが、その最終的な目的は単なる道徳的義務や生活改善・環境改善に留まらず自己の霊性を磨いてより高い次元に上昇(アセンション)するためである、というものです。
そして現在のところ、これ以上に常識から乖離しており、一般的な非陰謀論者に近づきがたい陰謀説・陰謀理論は存在しないといっていいでしょう。
したがってこれは、現時点における陰謀説・陰謀理論の「最終形態」と呼んでも差し支えないものです。
概念・言葉:スピリチュアル、アセンション、アセンデッドマスター
この「スピリチュアル陰謀論・陰謀説」で初めて多用される概念といえば、アセンション、霊性、アセンデッドマスター、スピリット(魂)、輪廻転生、ワンネスといったものがあります。
彼らは「魂(スピリット)」や「霊性」を、その前段階にある陰謀論者が悪の秘密結社を実在のものとするのと同じように実在のものと捉え、人間は単なる生命ではなくスピリット(魂)を持ち、それを磨くためには、人間より高い霊性を持って高次元にいる存在たちの助けを借りることが有用であると考えます。
そしてこの霊性を磨いた先には、その人が現在いる「次元」というものの上昇が起こり、この次元の上昇を「アセンション」と呼んで一つの重要な目標とします。
前出の「良き宇宙人」も単に科学技術・テクノロジーにおいて地球人よりも先に行っているというだけでなく、われわれよりもより高次元にいると考えるため、それらの存在は物心両面においてわれわれの先をいっていると考えます。
またレプティリアンに代表される悪しき宇宙人などは、比較的低次元にいるため、「アセンション」による高次元への移行によって彼らの支配が及びにくい存在になることを嫌って妨害している、とされることもあります。
さらにスピリチュアルの傾向を含む陰謀論者は、一般に輪廻転生を事実ととらえ、これはたとえば「リンカーン、キング牧師、ケネディなどの偉人の魂は輪廻転生してアメリカに戻ってきており、それはこの国で闇との決戦が行われているためである」といった形で表現されます。
そしてこの「輪廻転生」というスピリチュアルな概念が、前出の宇宙人陰謀論・陰謀説の宇宙的な要素と合わさり、前世はプレアデス人などの異星人だった地球人が一定数いるとされ、これを「スターシード」や「スターチャイルド」といった言葉で呼ぶことがあります。
加えて、一般に人間のスピリットはこの世界「すべて」の切り離すことのできない一部であり、この「すべて」を「ワンネス」と呼んで尊び、その自覚に至ることを理想としており、こうした部分はある種の仏教、もしくはその解釈と非常に類似しています。
代表者:COBRA、中丸薫、(アレックス・コリアー)
この「スピリチュアル陰謀論・陰謀説」の代表者には、COBRAレジスタンスのCOBRA(コブラ)や中丸薫らがいます。
COBRAは、プレアデス人・アンドロメダ人・シリウス人・アルクトゥルス人などの「光の銀河連合」とも呼ばれる良き宇宙人と、アセンデッドマスター・天使や女神といった存在を同じくらいに重視しており、特に「女神エネルギー」の重要性を主張することが多くあります。
これらの良き宇宙的・霊的存在を自覚して闇の勢力と戦う地球人を、「ライトワーカー」(光の活動家)や「ライトウォーリアー」(光の戦士)と呼んでその積極的な活動を促します。
その主な活動は同時刻における集団瞑想や「チンターマニストーン」と呼ばれる特殊なパワーストーンの埋設などです。
さらにCOBRAは、この前段階の宇宙的陰謀論では「悪の黒幕」の最上位に位置付けられることもあるレプティリアンのさらに上位に、「キメラ」や「アルコン」と呼ばれる悪しき存在を位置付けることも特徴です。
また中丸薫は陰謀説が一部で注目を浴びる切っ掛けとなった911以前の1997年には既に「闇の世界権力」についての著作を世に出しています。
彼女はもともとジャーナリズムの世界にいたことから、「世界皇帝」とあだ名されたデイヴィッド・ロックフェラー、ナサニエル・ロスチャイルド、独裁者のサダム・フセイン、アル・カダフィなどの世界中の重要人物のそうそうたる面々と直に話した経験を持ちます。
また彼女は明治天皇の孫を自称しており、チャネリングなどの超能力を持ち、宇宙人や地底人と対話した経験があるとしています。
チャネリング等で交信した人物として、実際に宇宙人と接触して宇宙船の搭乗などについて詳しく語ったオスカー・マゴッチの著書『宇宙船操縦記』にも登場するクゥエンティン、レムリア人のコロニーに住む地底人のアダマ、さらに死後の自分の夫の名を挙げ、その詳しい内容について著書で語っています。
また実は、一応「宇宙的陰謀論者」として紹介したアレックス・コリアーは、
- 肉食を辞めると波動が上がる。(一方で菜食は必須であるわけではないとも)
- アンドロメダ人はすべての目的が『魂の進化』にある。
- アンドロメダ人は9次元、10次元、11次元の存在と接している。
と語っており、話の力点(強調される部分)こそ宇宙人に関する事柄であるものの、宇宙人たちが霊的知識を保有していることや人間が持つとする霊性を重視する点で、確実にスピリチュアルの領域に踏み込んでいます。
書籍:海野いるか『地球をめぐる銀河戦争の終結』など
スピリチュアル陰謀論の著作として、COBRAの日本における第一人者である海野いるか氏の著書『地球をめぐる銀河戦争の終結』や、彼が出版に携わったイシュター・アンタレスの『11:11アンタリオン転換』があります。
どちらかといえば『地球をめぐる銀河戦争の終結』の方が『11:11アンタリオン転換』よりも分かりやすく、初心者ならばそちらの方をお勧めします。
最後に:4つの要素は各陰謀説のうちに混在する
以上で陰謀論・陰謀説の4段階の解説は終わりです。
しかし最初に述べたように、これらの段階は厳密にはっきり区別できるものではなく、実際には多くの場合混在しているものです。
たとえばテクノロジー重視型の陰謀論で名前を挙げたQアノンでは、「敵(カバール)は悪魔主義者であり、悪魔には物理的な攻撃は無意味なため、『祈り』がもっとも有効な攻撃である」とされます。
しかし「悪魔主義者」や「悪魔崇拝主義者」だけが存在し、「悪魔」が実在しないなら攻撃する必要もないはずであり、これは実質的に「悪魔」や「悪霊」のような霊的存在を認めているのと同義です。
したがって彼らはそこまで自覚的ではないものの、半ばスピリチュアルの領域に踏み込んでいるといえると思います。
また先述した通り、宇宙人陰謀論・陰謀説の代表者としたアレックス・コリアーにもスピリチュアルの要素は強くあります。
さらには不思議なことに、「レプティリアンによる人類の操作・干渉」を主張する陰謀論者であるデーヴィッド・アイク、早い時期に先行の研究者や自己の推理をもとに「宇宙人陰謀論」を確信した『エデンの神々』の著者、ウィリアム・ブラウリーなども、スピリチュアルな事柄や説明に言及することがあります。
たとえばデーヴィッド・アイクもしばしばスピリチュアルな用語を用いて現状や歴史を説明しており、たとえばおそらく有名な聖書の「楽園追放」について述べていると思しき場面では「人類の堕落は振動の降下を意味していると考えられる」と述べたり、あるいは「4次元」「アストラル体」などの言葉を用いることがあります。
またウィリアム・ブラウリーも「霊的解放」「霊的救済」「広範な霊的回復」といった概念を用いることがあり、一神教に代表される宗教を「カストディアン宗教(人類の『管理者の宗教』の意味)」として悪しき宇宙人が作ったものとする一方、原始仏教を真の霊的知識について語ったとして「マヴェリック宗教」と呼んでそれと対置させています。
つまり意外なことに、彼らは世間一般では「高度なテクノロジーを持つ側面」だけが強調される宇宙人の陰謀を主張しているにも関わらず、それに加えて霊的な知識、少なくとも霊性に関する何かしらの信念を持っていることは明らかなのです。
したがって、悪しき秘密結社(悪しき人間集団)、高度なテクノロジー、宇宙人、スピリチュアルという別々の要素は、厳密には各人の陰謀論・陰謀説の中で、相互に浸透し合って共存しているのが実情といえるでしょう。
この記事は以上になります。