アフガンには「バチャ・ポシュ」と呼ばれる風習がある。
男尊女卑の気風が強いアフガンでは女性の権利は大きく制限されるが、女性でも幼い頃から男性として育てられるならば、男と同様の権利が得られるというものである。
このアフガンの変わった風習について調べてみた。
女が男として生きるアフガンの「バチャ・ポシュ」
例えばアフガンのある家庭では、女子が三人連続して生まれたために、その三人目の娘「セタレ」を「セタール」と改名し、男として育てることに決めた。
次も女子が生まれたために、また男の子として育てることにした。
ようやく男子が生まれたが、バチャ・ポシュになった二人の娘(写真)はそのまま男として生きているという。
姉妹は16歳と14歳になっているが、姉のセタールにはガールフレンドがおり、妹のアリは、女の子からもらったラブレターを大事にとっている。
両親は今では女の子として生きてほしいと願っているが、既に当人たちがそれを望まなくなっている。
女の子がバチャ・ポシュになる理由も一様ではなく、両親を亡くして叔父に育てられた女の子は、「自分の足で生きていけるように」という思いから、バチャ・ポシュとして生きることになった。
娘をバチャ・ポシュにすると、次に男の子が生まれるという迷信すらあるが、バチャ・ポシュの風習がどうやって始まったのかはまだわかっていない。
引用:日経電子版
バチャ・ポシュにも長い歴史があるのだろうが、しかし完全に社会的に歓迎され、容認されている文化だというわけではないらしく、通りを歩けば「反イスラム」や「性転換者」などと罵倒されることもあるという。
アルバニア北部の「ブルネシャ」「宣誓処女」
かつてアルバニア北部にも「ブルネシャ」もしくは「宣誓処女」と呼ばれるよく似た風習があった。
今はそれほど厳しくはないそうだが、以前はその地域では女性に対して、車の運転・飲酒・喫煙から、商売を営むこと・土地を所有すること、選挙の投票や多くの施設への立ち入りまでもが禁止されていた。さらには腕時計をつけることさえ禁止だったというから恐れ入る。
しかしブルネシャになった場合、そうした女性に課せられる禁止事項はすべて解消されるのだという。
このブルネシャは、おそらく500年ほどの伝統があった。
前述したアフガンのバチャ・ポシュとの大きな違いは、バチャ・ポシュは子供の頃に周囲の大人によって決められるようだが、ブルネシャの場合は、女性自らが決定してなるか、もしくは余儀のない事情からブルネシャの道を選んだ、という話が多いことだ。
下の写真は、男として生きるブルネシャの女性たち。
画像:カラパイア